「ネットワークメディアとグローバルコミュニケーション」4(3):日本語翻訳巻頭語と論文要旨

发布时间:2025-11-13浏览次数:10

1. ソーシャルメディアの使用は、私たちの環境知識を増やすのか、それとも環境不安を増大させるのか?——多国間調査

Matthes Jörg, Neureiter, Ariadne, Kirchmair, Thomas,Bin Ahmad, Mokhtarrudin BinderAlice, BrandstetterChristina, Chuenterawong Ploypin, & Jeong-woo Jang

https://doi.org/10.1515/omgc-2025-0037

目的

ソーシャルメディアには強力動員力があり、世界中気候危機する意識める重要手段なされているしかしこの不議論余地のある関連性にもかかわらずソーシャルメディアの使用環境知識、環境不安との関連研究不足しており、特非西洋諸国対象としたグローバルなアプローチによる研究ない

デザイン/方法論/アプローチ

ドイツベルギー、南アフリカタイチリマレーシア、韓国、インドにおいてクォータベースの一般住民調査実施した

研究結果

ごとの部分的計測不変性考慮した構造方程式モデリングSEMいた分析結果、ソーシャルメディアの使用環境知識との関連によって顕著いがあることが判明した。一方、すべてのにおいてソーシャルメディアの使用環境不安有意増大させる予測因子であったがその影響きさはによってなったさらに、環境知識環境不安減少させる予測因子であることもらかとなった

実践的意義

じて、研究結果からはソーシャルメディアが学習促進する手段になるというかれている期待根拠薄弱であることが示唆されたむしろソーシャルメディアは個人気候変動する不安こす傾向があるようにえる

独自性/価値

本研究、西洋諸国えた範囲でソーシャルメディアの役割検証ソーシャルメディアの使用個人環境知識めるという役割限定的であることを実証した価値がある

キーワードソーシャルメディア使用、環境知識、環境不安、気候危機

 

訳者:楊雨寒 雨寒

校閲者:貝毓蔚 毓蔚

2. ソーシャルメディアの過度使用への対処:知覚される侵入性と心理的反発が抖音(Douyin)の健康的な利用リマインダーに対する順応に及ぼす影響

Xiaohan Hu and Lan Wang胡笑含 汪嵐

https://doi.org/10.1515/omgc-2024-0063

目的

近年、ソーシャルメディアの過度な使用が深刻な問題として浮上し、ユーザーの身体的および精神的健康に与える悪影響が懸念されてい。これらの懸念に対応するため、中国のショートビデオプラットフォームである抖音は、過度な使用や問題のある使用を軽減するために健康的な利用リマインダーを実施してい。本研究は、抖音の健康的な利用リマインダーがユーザーの認知と行動に及ぼす効果を調査することを目的としてい

デザイン/方法論/アプローチ

我々、抖音のユーザーである中国大学生対象にオンライン調査行った。調査では、ユーザーがリマインダーメッセージに対して感じる侵入感、自由感の脅威感、心理的反発、リマインダーメッセージに対する態度、そして順応行動を測定した。

研究結果

構造方程式モデリングの結果、ユーザーがリマインダーの侵入感を感じると、その態度に悪影響を与え、その結果、順応行動にも影響を及ぼすことがわかった。さらに、この効果は心理的反発理論で説明できることがわかった。すなわち、知覚される侵入性がユーザーの自由感の脅威感と心理的反発を高め、それがさらに態度と順応行動に影響を与えるから

実践的意義

我々の研究結果は、抖音のようなソーシャルメディアプラットフォームが、説得力を高めるために、健康的な利用リマインダーのユーザー体験と受容性を考慮に入れる必要があることを示してい。健康的な利用リマインダーメッセージのコミュニケーション効果を高めるための可能な戦略について議論する

独自性/価値

近年の研究では、ソーシャルネットワークの問題的な使用や過度使用に対する関心が高まっていが、これらの研究は主に、ソーシャルメディアの過度使用とユーザーの健康との関連を説明するために、ユーザーの特性的な特徴を探ることに焦点を当ててい。本研究は、プラットフォームが開始する健康的な利用介入の有効性を説明する心理的プロセスを探究する初めての研究である。また、本研究は、非英語圏におけるソーシャルメディア使用における心理的反発理論の理論的理解を拡大するものでもあ

キーワード:抖音、健康的な利用リマインダー、ソーシャルメディアの過度使用、心理的反発、順応行動

訳者:楊雨寒 雨寒

校閲者:貝毓蔚 毓蔚

 

3. ストリーミング時代における継承:Amazon Prime Videoにおける『Four More Shots Please!』の『Sex and the City』に対するグローカル化改編

Enakshi Roy

https://doi.org/10.1515/omgc-2025-0012

目的

本研究は、インドの『Four More Shots Please!(以下FMSP)』を対象に、アメリカの『Sex and the City(以下SATC)』を原作とするテレビフォーマットがストリーミング時代の翻案を通じていかに文化的に再構想されるのかを検討する。特に、FMSPが物語や美学的要素をローカライズし、ジェンダー、セクシュアリティ、ポストフェミニズム的表現をめぐるインドの社会文化的現実を反映させる過程を明らかにするとともに、国際的リメイクの形成におけるストリーミング・プラットフォームの媒介的役割を考察する。

デザイン/方法論/アプローチ

本研究は、FMSPの全30エピソードを質的主題分析し、さらにSATCの一部エピソードを比較コード化する。分析には「キャラクター(characters)」「物語構造(narrative structure)」「映像スタイル(audiovisual style)」「時空間構造(space-time structure)」「新たに浮上するテーマ(emergent themes)」という5つの次元からなるコード化枠組みを用いる。グローカリゼーションの理論枠組みに依拠し、テクスト間の変容をマッピングしながら、プラットフォームのインフラや社会文化的規範が翻案実践に与える影響を分析する。

研究結果

FMSPは「女性の友情と自律」というSATCの根幹的テーマを保持しつつ、インドの家族構造、言語的ハイブリディティ、社会政治的力学を通じて再編成している。ダミニ、アンジャナ、ウマング、シッディといったキャラクターはSATCの主要人物に対応するが、ジャーナリズム、母性、クィアネス、身体政治といったインド固有の言説に再文脈化されている。また、本研究は、両性愛や身体イメージといった二つの顕在的テーマを特定し、ジェンダーに関わるローカルな葛藤に翻案がより深く関与していることを明らかにした。Amazon Prime Videoの創造的柔軟性は、文化的に特定的でありながら同時にグローバルに認識可能なポストフェミニズム的ナラティブを可能にしている。

実践的意義

本研究は、ストリーミング・プラットフォームが、グローバルなフォーマットと文化的に埋め込まれたナラティブを融合させることを可能にする、グローカリゼーションの能動的主体として機能することを示している。国内およびディアスポラ視聴者の双方に訴求するための戦略的翻案の選択と、既存の知的財産の活用が強調される。

社会的意義

FMSPは、LGBTQ+アイデンティティ、職業的自律、身体イメージ、家族との交渉といったナラティブを取り込み、インド女性像の主流的表象を拡張している。これらの描写は、文化的真正性と志向される近代性との複雑な調整を図りつつ、伝統的ジェンダー規範に挑戦している。

独自性/価値

本研究は、メディア・グローバリゼーション研究に対して、翻案実践を媒介するストリーミング・インフラの役割を前景化することで貢献する。国際テレビ研究およびグローカリゼーション研究を拡張し、翻案が文化的近接性だけでなく、プラットフォームの論理、観客の期待、グローバル・サウスにおける制作政治によっても規定されることを示す。

キーワード: インド、グローカリゼーション、ストリーミング・プラットフォーム、テレビ翻案、ポストフェミニズム、質的主題分析、国際的メディア・フロー、Amazon Prime Video

訳者:曾煥濡 曾焕濡

校閲者:楊雨寒 雨寒

 

4. スポーツ人物の真正性に対する世代的認識:年齢はいかにソーシャルメディア上のスポーツインフルエンサーに対するファンの認識を形成するのか

Mara F. Singer, Chaz Callendar, Sheetal Kantilal

https://doi.org/10.1515/omgc-2025-0001

目的

本研究の目的は、スポーツ分野におけるパブリック・フィギュア型インフルエンサーの真正性に対するファンの認識について、世代間での差異を検討することである。その際、「感知真正性(perceived authenticity)」の六因子モデルを用いる。研究は、ソーシャルメディア利用者であるスポーツファンがいかにスポーツ人物の真正性を構築するかをテーマ分析によって探究した。デジタル影響力の拡大に伴い、ファンとアスリートの関係性が進化していることを認識し、スポーツ・コミュニケーションおよびアスリートのブランド・マネジメント戦略に含意を持つ。

研究デザイン/方法論

本研究は、ベビーブーマー世代、X世代、ミレニアル世代、Z世代の4世代にわたる42名の参加者から構成された8つのフォーカス・グループを実施した。参加者は、ソーシャルメディアを利用し、かつスポーツファンであることを条件に選定された。これらのフォーカス・グループを通じて、世代ごとにスポーツ・インフルエンサーの真正性に対する認識を分解・分析した。

研究結果

分析の結果、世代間でスポーツ・インフルエンサーの真正性認識に明確なパターンが見られた。Z世代は「つながり」と「正確さ」を強調し、ミレニアル世代は「誠実さ」を重視した。X世代は複数の要因を考慮し、ベビーブーマー世代は「誠実さ」と「熟達性」を重視する傾向を示した。また、世代間で「正確さ」と「謙虚さ」の重視度に逆相関があることも確認された。

実践的示唆

本研究は、スポーツ・コミュニケーションや広告において、真正性に関する世代に即したきめ細やかなアプローチが必要であることを示唆する。特に、パブリックなスポーツ人物がソーシャルメディア・インフルエンサーとして位置づけられる今日、スポーツ・マーケティング戦略やアスリートのブランド・マネジメントに重要な含意をもつ。マーケターやアスリートは、世代ごとに異なる真正性の認識に基づいて、コミュニケーションやブランディング戦略を調整する必要がある。

独自性/価値

本研究は、世代を横断するスポーツ人物の真正性認識に関する理解を深化させるものである。真正性の六因子モデルを適用し、世代間差異を明らかにすることで、学術的研究および実務的応用の双方に有益な知見を提供する。さらに、デジタル時代におけるスポーツ人物とファンの真正な関わりを設計するうえで、世代的視座を考慮する重要性を強調する。

キーワード: 真正性、世代間差異、スポーツ人物、ソーシャルメディア、インフルエンサー、フォーカスグループ

訳者:曾煥濡 曾焕濡

校閲者:楊雨寒 雨寒

 

5. 弱い紐帯、強い事実:インフルエンサーはいかにしてX(旧Twitter)上の公衆衛生コミュニケーションを増幅するか

ヤンフェン・ウー(吴顔芳)

https://doi.org/10.1515/omgc-2025-0011

目的

社会的同調理論は、規範的圧力が集団行動を駆動する要因であることを強調してきた。しかし、こうした力学がソーシャルメディアの弱い紐帯ネットワーク内でどのように作用するのかは、十分に解明されていない。X(旧Twitter)のネットワーク構造といったプラットフォーム特有のアフォーダンスは、公衆衛生コミュニケーションにおけるこれらの力学を再構成する可能性がある。本研究は、COVID-19ワクチン関連のX上での議論を対象に、健康危機の中でネットワーク化された影響力が情報的および規範的社会影響をどのように組み替えるのかを探究する。

研究デザイン/方法論

計算的手法、潜在的ディリクレ配分法(LDA)によるトピック・モデリング、センチメント分析、ネットワーク分析を統合し、2021113日から202255日までにTwitter Academic APIを通じて世界規模で収集した約550万件のCOVID-19ワクチン関連ツイートを分析した。ユーザーの役割(インフルエンサー vs 一般ユーザー)、紐帯の強さ、コンテンツの種類(事実ベース vs 意見ベース)がリツイートのパターンに与える影響を検討した。LDAを用いてワクチン関連議論のテーマ構造を抽出し、TextBlobによるセンチメント分析でツイートの主観度を測定し、事実ベースか意見ベースかを区別した。iGraphを用いたネットワーク分析により、次数中心性と媒介中心性に基づいてインフルエンサーを特定し、「権威型(authoritarians)」「加速型(accelerators)」「接続型(connectors)」に分類した。

研究結果

弱い紐帯による接続が情報拡散を牽引し、一般ユーザーによる事実ベースのツイートはインフルエンサーのそれよりも多く共有される。加速型、接続型、権威型のアカウントによる規範的社会的影響は、Xの文字数制限や分散的なネットワーク構造によって制約される。著者の属性にかかわらず、意見ベースのコンテンツはリツイートが少なく、利用者が主観的な語りよりも正確性を優先していることが示された。

実践的示唆

公衆衛生キャンペーンは、Xの分散型ネットワークに合わせて簡潔かつエビデンスに基づくメッセージングを優先すべきである。一般ユーザーを「ファクトチェック」ノードとして活用し、意見色の濃いコンテンツを最小化することでリーチを拡大できる。誤情報への対策を設計する際には、規範的影響を制限するプラットフォーム特有の条件を考慮する必要がある。

社会的示唆

本研究の結果は、デジタル・プラットフォームが非専門家ユーザーに言説形成の力を与えることで、公衆衛生コミュニケーションを民主化すると同時に、公的機関によるトップダウン型の発信に挑戦することを示している。この二面性は、弱い紐帯ネットワークを通じて情報格差を埋める新たな機会を浮き彫りにする。

独自性/価値

本研究は、Xにおける社会的同調メカニズムを三重の計算的アプローチで解明した初めての試みである。プラットフォームのアフォーダンスが従来の影響力ヒエラルキーをどのように撹乱するかを明らかにし、公衆衛生の文脈における「インフルエンサー」の役割を再定義した。弱い紐帯と事実ベースのコンテンツが、規範的圧力に優先してエンゲージメントを促進することを実証している。

キーワード: 大規模データ;X/Twitter;情報的社会的影響;規範的社会的影響;社会的同調;公衆衛生コミュニケーション

訳者:貝毓蔚毓蔚

校閲者:曾煥濡 曾焕濡

 

6. 誰がオンライン憎悪を支持するのか――韓国における反中蔑称認識におけるイデオロギーと知識の役割

ユ・ジョン・ファン(黄有

https://doi.org/10.1515/omgc-2025-0004

目的

本研究は、政治的イデオロギーと政治的知識が、韓国のオンラインコミュニティにおける反集団的コンテンツへの認識および消費にどのように影響するかを探究し、西洋以外の文脈に関する先行研究の空白を補うことを目的とする。

研究デザイン/方法論

韓国のオンラインコミュニティ利用者を対象にオンライン調査を実施し、政治的イデオロギー、政治的知識、そして特に中国という外集団に対する態度との関係を検証した。

研究結果

保守的傾向と反集団的蔑称に対する肯定的認識との間に有意な相関が認められ、さらに政治的知識と反集団的感情および蔑称認識の双方との関連も明らかになった。予想に反して、社会的アイデンティティや脅威認識は反集団的感情を予測する要因とはならなかった。

実践的示唆

本研究の成果は、より包摂的なオンライン言論を促進し、否定的な集団間態度を緩和するための方策に示唆を与える。特に政治的知識がオンライン行動形成において重要であることを示している。

社会的示唆

本研究は、オンラインコミュニティが韓国における集団間力学や国民的アイデンティティにどのような影響を与えるかを理解するうえで貢献し、国際関係や異文化理解にも広い示唆を提供する。

独自性/価値

韓国のオンラインコミュニティにおけるインシビリティを初めて本格的に取り上げ、政治的イデオロギー、知識、オンライン行動の複雑な相互作用を非西洋的文脈で解明した先駆的研究である。

キーワード: ソーシャルメディア;オンラインコミュニティ;インシビリティ;集団間態度;韓国;中国

訳者:貝毓蔚毓蔚

校閲者:曾煥濡 曾焕濡

 

 

 

7. AIとニュース制作:イタリアのニュースルームにおける言説と実践の探索的調査

マリア・フランチェスカ・ムルーMaria Francesca Murru、シモーネ・カルロSimone Carlo

https://doi.org/10.1515/omgc-2025-0045

要旨

本稿は、人工知能(AI)がイタリアのジャーナリズムに与える変革的影響を考察し、AI技術がいかに統合され、報道の現場を再編成しつつあるのかを詳細に検討する。主要なイタリアのメディア企業に所属する記者、デジタル編集者、ITマネージャー10名への質的インタビューを含む質的研究を通じて、本研究はニュースルームにおけるAI導入をめぐる態度、期待、懸念を探る。研究の中心は、ジャーナリズムの専門家がAIのニュース制作への組み込みを描写する際に用いる微妙な認識や言説的枠組みにある。AIを検討する際、特に不透明性とコミュニケーション能力という二つの構造的要素を考慮すると、それに伴う想像・認識・期待を抜きにすることはほぼ不可能であり、これらの要素がAIを歪曲や制御不能な解釈投影にさらしやすくしている。

言説の中心性は、新制度主義的アプローチによって強調されてきた。これは、ジャーナリズムを複雑な規範・実践・価値の集合から成る言説的制度とみなし、それらが言説を通じて構築され、正統化されると捉えるものである。この視点から、言説的正統化は規範・実践・価値を内部的に組織化するプロセスであると同時に、社会の中で制度としての評判を確認し、防衛し、主張するための手段でもある。

インタビュー対象者は、AIが自動コンテンツ生成やデータ分析といった効率化や新たな能力を通じて、ジャーナリズムのワークフローを革新する可能性について多様な見解を示した。しかし、多くの参加者はAIを人間の記者の代替ではなく、ニュース制作の質を高め、より深い取材を可能にする補完的ツールとして捉えている。こうした可能性が認識される一方で、参加者の間には慎重さが根強く残る。透明性の問題、雇用喪失のリスク、ますます自動化が進む環境での専門的基準の維持といった倫理的懸念が指摘された。

本稿は、ニュースルームにおけるAI利用について、共有されたガイドラインを透明に定める明確な編集戦略の必要性を提案する。また、生成系AIの利用を個々の記者の裁量に委ねるのではなく、ワークフロー全体を合理的かつ効率的に再構築する広範な計画の中で意味づけるためには、報道機関による大規模な技術投資が不可欠であることを強調する。この観点から、ジャーナリストのコンピュータスキルを大幅に向上させる投資、そして倫理的・民主的含意に配慮した包括的なAIリテラシーの枠組みを整備する必要がある。

 

キーワード: ハイブリッド・ジャーナリズム;生成AI;ジャーナリズムの言説的構成;ニュース制作

訳者:貝毓蔚 毓蔚

校閲者:曾煥濡 曾焕濡