訳者:須軍(シュイ クン)、 侯小天(コウ ショウテン)、姚晨(ヨウ シン)、王港(ワン コウ)、趙穎新(チョウ エイシン)、陳昕(チン キン)、金婕(キン ショウ)
Editorial Essay
エディトリアルエッセイ
Z世代のソーシャルメディア利用とグローバル・コミュニケーション
Peiqin Chen and Louisa Ha
https://doi.org/10.1515/omgc-2023-2006
デジタルネイティブとも呼ばれるジェネレーションZ(Z世代)は、インターネット、特にソーシャルメディアの普及後に生まれた最初の世代である。さまざまな国際的デジタルプラットフォームを通じて、Z世代は以前の世代よりも膨大な数の情報を手に入れられるようになった。
世界中のメディアプラットフォームで繋がるZ世代は、若い頃からインターネットでコミュニケーションを行ってきた。グローバルなコミュニケーションプラットフォーム、特にツイッター(Twitter)、フェイスブック(Facebook)、インスタグラム(instagram)、ユーチューブ(YouTube)、TikTokなどにさらされているZ世代の認識や態度が、世界中のオンラインコンテンツによってどのように形成されているかは、研究する価値がある。
しかし、Z世代のオンラインメディアの利用と、彼らの他国に対する認識に関する研究や、各国間の比較研究はまだ乏しい。さらに、グローバルな文脈におけるZ世代のメディア利用、特にニュース消費に焦点を当てた研究は、世界を理解する上で極めて重要である。
本誌『オンラインメディアとグローバルコミュニケーション(OMGC)』は今年、このギャップを埋めようと努力をした。カナダのトロントで開催された国際コミュニケーション学会(ICA)の2023年年次大会において、プレカンファレンスを開催したのである。プレカンファレンスでは、Homero Gil de Zuniga が『Z世代、ミレニアル世代、X世代、ベビーブーマー?メディア効果の平等化装置としての「ニュースが自分を見つける」認識とグローバル・コミュニケーションへの影響』と題した講演で、次のような若者のメディア利用モデルを提示した。彼は、ソーシャルメディア時代において、Z世代はニュースを探す代わりに、「ニュースが自分を見つける」ことに依存していると主張した。さらに、「メディア利用とZ世代の世界観」、「子どもとニュース:教訓と今後の方向性」の2つのパネルと、「世界における子どもの権利」が発表された。また、「メディア利用とZ世代の世界観」「子どもとニュース:教訓と今後の方向性」の2つのパネルが発表されたことに加え、「ソーシャルメディア利用」や「国際ニュースがZ世代の世界観に与える影響」、「政治とZ世代のメディア利用」、「人工知能とZ世代」、「デジタル・アクティビズムとZ世代」、「世代を超えた比較」などをテーマにした14本の論文が発表された。プレカンファレンスの全プログラムは、https://omgc.shisu.edu.cn/8e/63/c12420a167523/page.htm を参照のこと。
本号は、プレカンファレンスから選ばれた6本の修正原稿を編集したものである。すべての著者が、Z世代の日常生活におけるソーシャルメディアの重要性を強調した。
今号の最初の論文は、Diana Alvarez-Macias、Alfredo VillafrancaとCarmen Villafranca 論文「アイデンティティ、移民、ソーシャルメディア:米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)におけるZ世代」である。論文では、USMCA加盟国である米国、カナダ、メキシコの3大都市における移民、移民の2世、3世、先住民の高校生の多国間比較が行われる。綿密なインタビューの結果、彼らのソーシャルメディアの利用が、自身の国民性、他国に対する認識、移民への関心に影響を与えていることが明らかになった。カナダ人は、3カ国の若者の中で最も肯定的に評価された。若者は他国について、主に他の移民仲間のソーシャルメディアの投稿から学んだ。若者は主に他の移民の若者のソーシャルメディア投稿から他国について学んだ。
Rik Rayの論文「オンラインニュース・プラットフォームは依然として重要:2020年大統領選挙における世代間のニュース消費パターン」は、新しい準実験的割り込み時系列分析を用いて、Z世代の政治ニュース消費を調査している。大統領選挙」では、2020年米国大統領選挙期間中の新しい準実験的分割時系列解析を用いて、Z世代の政治ニュース消費を調査している。この研究は、3万人の参加者から得た全米サンプルのComScore社のログデータに基づいており、ソーシャルメディアとニュースサイトの利用に分けている。その結果、主要な政治イベントがZ世代のオンラインニュース消費の引き金になることがわかった。Z世代の視聴者は一般的に以前の世代に比べて、ソーシャルメディアに費やす時間が長いにもかかわらず、選挙期間中はどの世代もソーシャルメディアの利用は増えるどころかむしろ減っていた。Z世代の視聴者は前の世代に比べて一般的にソーシャルメディアに多くの時間を費やしていたが、選挙期間中はどの世代もソーシャルメディアの利用は増加するよりもむしろ減少した。
Mara Singer、Chaz Callendar、Xiao Ma、Samuel Thamの論文「インフルエンサーの信頼性における認識の違い:脱インフルエンサー運動におけるZ世代とミレニアル世代のインフルエンサーの信頼性の定義の比較」は、ソーシャルメディアインフルエンサー(SMI)の信頼性の6つの次元を用いて、Z世代とミレニアル世代を比較したところ、Z世代とミレニアル世代はSMIの信頼性に対して異なる期待を持っていることがわかった。Z世代は、SMIは彼らがアドバイスや意見を求めることができる知識豊富で信頼できる友人であると認識しているのに対し、ミレニアル世代は、SMIを倫理的で透明性のある行動をとる必要のある職業と見なしている。
Yijin Liの論文「なぜZ世代はTwitchのアバター付きバーチャルストリーミングVTubeアニメ動画を見るのか?」は、Twitchのような、ナレーションのみで生身の人間が登場しないライブストリーミングアニメ動画(主に日本語)が、米国のZ世代が好んで視聴する特定のタイプのオンラインコンテンツプラットフォームとなった理由を探っている。VTubeコミュニティのRedditユーザーを対象として、このような動画を視聴する動機と贈与行動をを調査した結果、VTuberの仲間意識、アバターの外見と人柄が視聴者のライブストリーミング視聴意欲に影響し、視聴者の約3分の1がギフティングでVTuberを応援する気持ちを表している。
Zhenyu Zhangの論文「ファンとアイドルのパラ親族関係:推しぬいぐるみの購入動機に関する質的分析」は、中国本土のZ世代のファンが、アイドルに対する恋愛幻想を隠すために、有名人の外見に基づいて作られたアイドルの縫いぐるみの母親役をどのように演じているかを探っている。これらの縫いぐるみは、彼らが愛するアイドルへの強い愛情を表現する新たな手段となり、同好のファンを惹きつけ、ファン集団のアイデンティティを得るための象徴的な識別子として使われることもある。
May Hongmei Gaoによる「伝統主義者からZ世代まで:米国における世代間コミュニケーションとメディア嗜好の概念化」は、グローバルビジネスリーダーへの綿密インタビューと参与観察を通じて、アメリカにおける伝統主義者からZ世代までの5世代のコミュニケーションの特徴を分析している。この論文は、15年世代に基づき、世代間のメディア嗜好を探り、世代分類法の改訂を提案している。また、世代間の違いを理解することが、組織における効果的な世代間コミュニケーションに与える影響についても論じている。
英語圏以外の研究として、Lisa Bolzの「TikTokにおける共同執筆ジャーナリズム:メディアの正当性とエデュテインメントコミュニティ」が『Quaderni誌』のフランス語版に掲載された。TikTok上の英、仏、独、米のニュースメディアに関する彼女の研究は、彼らがラル・トレンドに参加したり、若いインターネット・ユーザーの生活に影響を与える動画を公開したり、ユーモラスな切り口で情報を伝えたりすることで、どのようにTikTokの認定を受け、ジャーナリズムの権威を交渉し、ターゲットであるZ世代との「視聴契約」を強固にするためにコンテンツを適応させているかを示している。
連絡先:Xiaoying Ha, BOWLING GREEN STATE UNIVERSITY, USA.電子メール:louisah@bgsu.edu
1. Identity, migration, and social media: Generation Z in USMCA
アイデンティティ、移住、ソーシャルメディア:「USMCA」におけるZ世代
Diana Alvarez-Macias, Alfredo Villafranca and Carmen Villafranca
https://doi.org/10.1515/omgc-2023-0042
研究目的
本研究では、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)加盟国で生活しているZ世代の若者が抱いている国家的アイデンティティの表象を分析する。また、彼らがソーシャルメディアを通じてこの話題に関してどのような情報に接しているかを明らかにする。
研究方法
本研究では、デプスインタビューによる定性的アプローチを取った。目的は、社会的意義と表象システム再構築である。情報分析には、NVivoによる継続的比較法(constant comparative method)を用いた。
調査結果
インタビューを受けた若者たちの国家的アイデンティティの認識について、自身のグループに対しては肯定的で、カナダ人に対しては非常に好意的、そしてアメリカ人に対しては否定的であることがわかった。さらに、回答者は旅行や移住の意欲がソーシャルメディアに影響されていることを認め、移住を考える場合はどの国に行くかもソーシャルメディアに影響されるとしている。もうひとつの点として、「USMCA」協定について、メキシコ人はかなりよく知っているが、アメリカ人は知っている人とまったく知らない人と二分し、カナダ人はまったく知らない。これは、ソーシャルメディアによって生産・拡散された情報を改善する可能性を反映している。
実際的意義
研究結果がもたらす実践的な意義:この結果が若者がソーシャルメディアに流れる情報をどのように解釈し、国家的アイデンティティについてどのような表象が構築されたのかについての理解を深めることができる。また、この研究は他の国でも再現できると考える。
社会的影響
Z世代が持つこれら3カ国の国家的アイデンティティや移住への理解には、それぞれの国の民主的な生活、ひいては「USMCA」3カ国間の関係に影響を与える可能性があると考えられる。
オリジナリティー/研究価値
「USMCA」の国家的アイデンティティについて行われた少数の研究の一つとして、Z世代が国家的アイデンティティについて抱いている表象を定性的に探求することによって、当該地域市民間の相互理解を深めることに役立てる情報を提供することができるだろう。
キーワード
Z世代、国家的アイデンティティ、メキシコ、アメリカ合衆国、カナダ、ソーシャルメディア、デプスインタビュー
2. Online news platforms still matter: Generational news consumption patterns during the 2020 U.S. presidential election
オンラインニュースプラットフォームは依然として重要:2020年米国大統領選挙における世代別ニュース消費パターン
Rik Ray, University of Ilinois-Urbana Champagne, U.S.A.
https://doi.org/10.1515/omgc-2023-0012
研究目的
Z世代や若年層のニュース視聴者のニュースへの関心が低下し、特に政治ニュースに対する信頼が低下したことがニュース消費の減少傾向につながると考えられている。それは民主的プロセスに悪影響を及ぼしかねないと言われている。本研究では、米国史上前例のない一連の出来事が起きた2020年米国大統領選挙前後を中心に、内容の役割やオンライン政治ニュース消費パターンに見られる世代間の相違点と共通点を明らかにし、この問題について、より精密できめ細かい視点を提供した。
デザイン/方法論/アプローチ
これらの消費パターンを調査するために、「comScore」による米国のウェブサイト訪問集計データを、疑似実験的中断時系列デザイン(Interrupted time series Design)で使用したことで、2020年の選挙を自然実験条件として活用した。
調査結果
Z世代はニュース消費をかなり減らしているのは確かなことであるが、その一方、彼らは選挙後のニュースサイトへのエンゲージメント(engagement)が著しく増加したことが想定とは異なり、また、世代を問わず、メディア視聴者はこういったイベントにおけるソーシャルメディアの利用を減らす傾向があることが分かった。
研究意義
研究結果がもたらす意義:大きな政治イベントは、一般的なニュース消費、特に政治に関するニュース消費といったメディア利用パターンに大きな影響を与える可能性がある。また、ニュース、ニュースソース、視聴者の定義を見直し、再評価することも急務である。
オリジナリティー/研究価値
疑似実験的デザインにおける観測データを用いることで、本研究は大きな政治イベント文脈におけるオンライン政治ニュース消費の世代別パターンについて、より正確で洗練された視点を提供した。また、本研究はメディア利用に関する一部の既存概念を裏付けて、一部の既存概念を挑戦した。
キーワード
Z世代;政治ニュース消費;デジタルメディア;米国;大統領選挙;自然実験;中断時系列;メディア視聴者
3. Differences in Perceived Influencer Authenticity:A comparison of Gen Z and Millennials’ definitions of influencer authenticityduring the De-Influencer Movement
影響者の信頼性における認識の違い:デインフルエンサームーブメント中のジェンゼーションZとミレニアル世代の影響者の信頼性の定義の比較
Mara F. Singer,Chaz L. Callendar,Xiao Ma,Samuel M. Tham
https://doi.org/10.1515/omgc-2023-0038
研究目的
ジェンゼーションZとミレニアル世代の両方にとって、信頼性はソーシャルメディアの影響者の説得力の一部として考えられている。この研究は、テーマ分析を使用して、ジェンゼーションZとミレニアル世代がソーシャルメディアの影響者の信頼性に対する自分たちの認識をどのように形成しているかを解明する。
研究デザイン
この研究は、ジェンゼーションZの15人とミレニアル世代の13人、計28人のメンバーを対象に、4つの焦点グループディスカッションを実施した。参加者は、ライフスタイルのソーシャルメディアの影響者をフォローし、影響者の推薦に基づいて購入を行ったことを確認するために選別された。オンライン焦点グループでは、各世代の参加者がソーシャルメディアの影響者(SMIs)の信頼性を評価する方法について議論し、Nunesらによる6要因の累積モデルを使用した(2021年)。
研究結果
研究結果によれば、ジェンゼーションZはSMIsを教育を受けた友達と見なし、アドバイスや意見を求める対象としているが、ミレニアル世代はソーシャルメディアの影響者を倫理的かつ透明な方法で行うべき職業と捉えている。
実務上の意義:
これらの結果は、ジェンゼーションZとミレニアル世代の心理を理解するのに役立ち、適切なプロデューサーメッセージで彼らに働きかけるようにできる。
オリジナリティー/研究価値
信頼性の概念は複数の団体によって異なる定義がなされており、この研究は特にジェンゼーションZとミレニアル世代という最大のオンライン消費者層間での感知される信頼性の世代間の定義を分析する文献の現在の研究空白を埋めることを目指している。
キーワード
信頼性、影響者、ジェンゼーションZ、ミレニアル世代、eWOM(電子口コミ)
4. Why does Gen Z watch Virtual Streaming VTube Anime Videos with Avatars on Twitch?
なぜZ世代はTwitchでアバター付きバーチャルストリーミングVTubeアニメ動画を見るのか?
Yijin Li, Boston University
https://doi.org/10.1515/omgc-2023-0030
研究目的
ライブストリーミング(Live streaming)は、個人がインターネット上で録画と放送を同時に行うことができるメディアとして、ますます人気が高まっている。ライブストリーミング動画を個人で配信するストリーマーは、ライブストリーミングビデオプラットフォーム上で多様なメディアコンテンツを制作する。そしてほとんどのストリーマーは、実在する人間をライブストリーミングで登場させる。一方、VTuberと呼ばれるバーチャルYouTuberは、アバターを使ってライブストリーミングを行う。近年、TwitchはVTuberにとって最も有名な動画ライブストリーミングサービスの一つとなっている。本研究の目的は、視聴者とVTuberの間のパラ・ソーシャル・インタラクション(parasocial interactions)による魅力を探って、またその魅力が視聴者とVTuber間の実際の媒介されたインタラクションに与える影響について検討することである。
研究手法・アプローチ
VTuberのライブストリーミングの視聴者への魅力と視聴者のVTuberへのエンゲージメントを調査するためのアンケート調査を実施した。
研究結果
パラ・ソーシャル・インタラクションは、視聴者がVTuberのライブ配信を視聴する要因かもしれない。身体的魅力、社会的魅力、タスク的魅力は、視聴者が特定のVTuberのライブ配信の選択、さらに彼らとのソーシャル・インタラクションに対する影響の面で重要な役割を果たす。具体的には、VTuberとの交流、ライブ配信の内容、VTuberのパーソナリティ、アバターのビジュアルデザインが、回答者を引き付ける重要な要因であることが分かる。また、視聴者とVTuberとの交流パターンも明らかになっている。アクティブな視聴者は、VTuberからの認識、さらに彼らのリアクションを得るためにコメントを残すのが一般的である。受動的な視聴者は、時間、言葉の壁、性格、感情的な健康に影響されやすい。
VTuberとプラットフォームにライブストリームのデザインや改善方法について提案し、VTuberの視聴者への惹きつけのためのプロモーションを支援する。
サブカルチャーとしてのVTuberを紹介し、視聴者がどのようにVTuberのライブを消費しているかを示している。
オリジナリティー/研究価値
本研究は、視聴者がVTuberのライブ配信を選択し、参加する上で魅力が果たす役割を探求した初めての研究である。視聴者のライブストリーミング視聴意欲に影響を与える上で、VTuberの交友関係、アバター、パーソナリティの重要性を示している。
キーワード
バーチャルYouTuber、VTuber、Twitch、ライブストリーミング、Z世代
5. Para-kin relationship between fans and idols: a qualitative analysis of fans’ motivations for purchasing idol-dolls
ファンとアイドルのパラ親族関係:推しぬいぐるみの購入動機に関する質的分析
Zhenyu Zhang
https://doi.org/10.1515/omgc-2023-0019
研究目的
本研究の目的は、「親目線ファン」がアイドルとファンの間に存在するパラソーシャル関係のパターンにどのような影響を与えるかを検証し、推しぬいぐるみの購入動機についてより深い洞察を得ることである。さらに、男性アイドルファンの経験や視点を取り入れることで、ファン行動についての理解を広げ、「推しぬい消費」の動機についての理解を深めようとする。
研究デザイン/方法
本研究では、推しぬい購入者を研究対象とし、テキスト分析と非構造化インタビューを通じて、ファンの購入動機を探る。
研究結果
推しぬいの購入は、感情的な愛着が原動力であり、特に支配感を確立し母子関係を維持しようとする親目線ファンの間で駆り立てられる。また、推しぬいを購入することを通して、ガチ恋ファンは、アイドルに対するロマンチックな思いを隠すことができる。さらに、推しぬいは同好のファンを惹きつけ、ファン集団のアイデンティティを得るための象徴的な識別子として使われることもある。特に、男性の規範から逸脱していると見なされる男性アイドルのファンは、女性優位のコミュニティでは厳しく審査され、その信頼性のさらなる証明が必要とされる。
現実的意義
本研究は、推しぬいぐるみの購入動機の理解を深め、マーケティング担当者がファン、特に親目線ファンの感情的ニーズに応えるために、彼らの望む愛着感に共鳴するぬいぐるみをデザインし、販売するのに役立つ。
社会的意義
本研究は、ファン活動のポジティブな側面を認識し強調することにより、ファンダムの脱悪魔化と正常化のプロセスに役たつ。さらに本研究は、中国の若い世代の葛藤と感情的ニーズのより包括的な理解にも貢献しようとするものである。
オリジナリティ/価値
本研究は、先行研究にまだ十分に研究されていない親目線ファン集団の感情的ニーズと推しぬいを購入する動機を探るものである。また、男性アイドルファンの独特な視点と経験を認識し、推しぬい消費に関する新鮮でユニークな見方が提示される。
キーワード:中国、Z世代、推しぬいぐるみ、親目線ファン、パラ親族関係、参加型文化
6. From the Traditionalists to GenZ: conceptualizing intergenerational communication and media preferences in the USA
伝統主義者からZ世代へ:アメリカにおける世代間コミュニケーションとメディア嗜好の概念化について
May Hongmei Gao
https://doi.org/10.1515/omgc-2023-0011
研究目的
本稿では、アメリカに住んでいる人々を15年の間隔で7つの世代に分類する。その中で、労働力や消費者として活躍している5つの世代(伝統主義者、ベイビーブーマー、X世代、Y世代、Z世代)のコミュニケーションスタイルを紹介し、より効率的な世代間コミュニケーションのための戦略を提示する。
研究デザイン/方法論
本論文は多方式を用いた質的研究であり、グローバルビジネスで活躍する10人の起業家へのデプスインタビューと、Y世代とZ世代の学生を対象とした大学教授としての参与観察から得られたデータをまとめたものである。
研究結果
本稿は、企業・組織が特定の世代の使うソーシャルメディアアプリを利用して双方向コミュニケーションを行うことを検討する必要があると考えた。また、本稿では、伝統主義者、ベビーブーム世代、X世代、Y世代、Z世代という、現在米国の労働力と市場で活躍している5世代の人々のコミュニケーション嗜好を明らかにした。
実践的意義
企業・組織の持続可能性を維持するため、現在米国の労働力と市場で活躍している5世代の人々のコミュニケーション嗜好を研究することが重要である。世代間コミュニケーションを効率的に行うために、企業・組織は1)世代間コミュニケーションを文化間コミュニケーションの一形態として概念化する、2)明確な「ビジョン・ステートメント」を作成する、3)あらゆる世代にわかりやすい言葉で伝える、4)マスメディアやソーシャルメディアを通じた双方向のコミュニケーションに取り組む。
社会的意義
現在進行中のデジタル化変革は米国の企業・組織のコミュニケーションに大きな影響を与えた。本研究では、「スピーチ・コード理論(Speech Code Theory)」と「ニュース・ファインド・ミー(News Find Me)」の視点を応用し、世代間コミュニケーションを異文化間コミュニケーションとして捉えることを提案した。企業や組織は、異なる経済時代に育ち、異なるテクノロジーやメディアの影響を受けた5世代の労働力や消費者を管理、統合、および接触するという課題に直面している。
オリジナリティ/価値
本論文は米国の労働力と市場で活躍する5世代のコミュニケーション嗜好を総合した初めての学術研究である。研究は複数のアプローチを用いて、伝統主義者、ベビーブーム世代、X世代の10人のグローバルビジネスリーダーへのデプスインタビューから得たデータと、米国の教授がY世代とZ世代の学生への参与観察からのデータをまとめて提示した。
キーワード
世代間コミュニケーション、伝統主義者、ベビーブーマー世代、ミレニアル世代、Z世代、ソーシャルメディア
7. Co-writing journalism on TikTok: media legitimacy and edutainment communities
TikTok上での共同ジャーナリズム:メディアの信頼性とエデュテインメントコミュニティ
Lisa Bolz
https://doi.org/10.1515/omgc-2023-2005
伝統的な実践とTikTokのコードを組み合わせることで、TikTok上のメディアは特に「Z世代」と呼ばれる世代をターゲットにしたジャーナリスティックなニュースを提供している。短く、しばしば遊び心のあるビデオは、新聞記事の情報とTikTok文化を結びつけ、新たなジャーナリズムの論調を示している。TikTok上でのジャーナリズムの出現により、メディアはこのデジタルソーシャルネットワーク上での信頼性を確立し、ジャーナリズムの仕組みについて説明する必要がある。したがって、TikTok上のジャーナリストは、報道の舞台裏を示したり、新聞が提供する価値を正当化したりすることで、メディア教育も行っている。メディアはコンテンツとビデオの形式をTikTokに適応させ、トレンドに合わせたり、若いインターネットユーザーの生活に影響を与えるビデオを公開したり、ユーモアを取り入れた視点で情報を伝えたりしている。さまざまなインタラクションの方法を通じて、メディアはインターネットユーザーをニュース制作に巻き込み、メディアコミュニティを展示することができる。