「ネットワークメディアとグローバルコミュニケーション」3(1):日本語翻訳巻頭語と論文要旨

发布者:李晓蒙发布时间:2024-05-14浏览次数:10

1. 視覚コミュニケーションの自動化と国家イメージの美の構築:Twitter上のソーシャルボットによる計算美学の分析

黄陽坤  陳昌鳳

https://doi.org/10.19997/j.cnki.xdcb.2023.08.016

 

要旨

視覚と美学は、国家イメージ構築の不可分な次元である。本稿は、Twitter上の中国関連画像106,562枚に基づき、計算美学アプローチを導入し、ソーシャルボットの視覚コミュニケーション活動を調べた。人間とボットアカウントが投稿した画像の類似点と相違点を比較することで、ソーシャルボットの美的戦略の影響を明らかにした。結果は、ソーシャルボットが中国関連の視覚フレームの構築において異なる美的戦略を展示し、明度、彩度、色などの特徴において人間と差別化された美的なスタイルを形成していることを示した。負の二項回帰は、ソーシャルボットの美的な戦略がより多くの「いいね」とシェアを獲得することに役立つことを示した。視覚コミュニケーションと美の構築の自動化は、国家イメージのグローバルな構築とコミュニケーションを新たな状況と課題に直面させるだけでなく、人間の視覚的な美学、創造およびコミュニケーションに主体性の危機をもたらす。

 

キーワード

ソーシャルボット;計算美学;国家イメージ;視覚コミュニケーション;AIを介したコミュニケーション

 

翻译者:曾

校对者文霞

 

2. 感情、信頼性、連帯感: NGOのガザ救援・アドボカシー活動における戦略的ナラティブ

 

リンダジベリ  ララレンゲル  アルタンリマニ  ヴィクトリアニューサム

https://doi.org/10.1515/omgc-2024-0004

 

要旨

研究目的

本研究は、武力紛争中NGOの人道支援活動というあまり研究されていない分野を探るものである。ガザ人道危機の影響を受けた市民を支援することを目指す14NGOのインスタグラム・アカウントに投稿されたビジュアルを考察した。

 

研究方法

危機発生から90日間に投稿された14NGOのインスタグラム投稿(n= 3,014)を分析するために、この試験的な研究はテキスト分析と視覚的レトリック分析という批判的・修辞学的アプローチを用いた。

 

研究結果

NGOのインスタグラム・アカウントを通じた戦略的コミュニケーションは、3つの重要な特徴を呈した。すなわち、宣伝・救済活動を実施することに必要なステークホルダーを引きつけるために、信頼性、感情と連帯感へのアピールである。NGOは常にこういったアピールを組み合わせて使用し、時には1つの画像で3つすべてを強調することもあった。このようにアピールを混ぜ合わせることで、NGOは既存の戦略的ナラティブによる制限を排除したり、それらの制限に抵抗する新たなメッセージを構築したりすることができる。データセットは、3つの動機付けとなるアピール(信頼性へのアピール、感情へのアピール、連帯感へのアピール)において、若干の法学科的傾向によって緩和している意図的なレトリックのパターンを起こした。

 

実践的な研究意義

本研究が人道危機に関する最初の研究のひとつであることから、人道危機とそれに対するNGOの対応を理解する重要な研究である。

 

社会的な研究意義

この研究は、NGOの戦略的コミュニケーションの潜在的な影響力とソーシャルメディアの可能性についての理解を深め、紛争や人道危機に対する批判的な視点を国際的な聴衆に備えさせるものである。

 

独創性

本研究は、NGOの宣伝活動や人道支援活動におけるインスタグラム投稿の実践について奥深い洞察を与えるとともに、そうした活動を行う上での課題や、文字通りの意味でも比喩的な意味でも障害となっているものを理解するためのものである。データセットの新しさを考えれば、この研究の独創性は明らかである。現在の人道危機中NGOの戦略的コミュニケーションを分析した研究においては、おそらくこの研究が初めてであろう。本研究は、メディア・コミュニケーション学から政治学、危機管理学まで幅広い学際領域の研究者、そしてNGOの運営やボランティア、オンライン・コンテンツ制作、ソーシャルメディア・キャンペーン運営、特に危機救援や危機管理などを行う戦略的コミュニケーションの専門家にとって価値がある。

 

キーワード

ガザ、人道危機、非政府組織、戦略的コミュニケーション、視覚文化

 

翻译者:魏柯鑫

校对者文霞

 

3. マルチモーダルの視点から見る外遊ブイログ中のシーティイメージ:世界中の20港町への調査

陳思甜  臧穎蕾  陽萍

https://doi.org/10.1515/omgc-2023-0034

目的

本稿の目指しは、ブイロガーがどのようにYouTubeで様々なモダリティのインタラクションを利用し、外遊ブイログで視聴者の注目を引くことを分析することである。また、社会文化コンテクストがどのようにこれらのブイログのディスコースと表現されたシーティイメージ影響するかという問題にも注目する。 

 

方法

本稿は、記号論における来歴記号の理論、言語学における評価システム及び視覚文法に基づくマルチモーダルな研究方を用いる。

 

研究結果

研究結果によると、これらのブイログには、自然の楽しみ、ランドマークの見物と街歩き、食べ物の試食、インフラストラクチャーへの評価を含む 4 つの主なテーマがあることが分かった。高水準のスキルと豊富な経験を持つ北米のフルタイムブロガーが主な投稿者である。しかし、それがシーティイメージを固定化したり、偏ったりするかもしれない。さらに、この文章には都市の物理的な存在や、外遊ブイログを見た外国人の視聴者の都市への認識などというシーティイメージ形成のメカニズムも説明されている。 

 

含意

シーティイメージはダイナミックな風景に存在している。そこには発言力の大きいKOLもいる。都市はメディアによってより目立つようになってきているものの、媒介されたシーティイメージの均質化が進むという問題にも直面している。また、都市の管理者や旅行ブロガーなど様々な利害関係者にして見れば、本稿はシーティイメージを国際的に伝える方を再定義するという実用的な意義もある。

 

オリジナリティー

本文は比較的でグローバルな見地からシーティコミュニケーションの研究範囲を広がる。このような新たな分析フレームワークは未来のメディア内容の研究の参考になれる。さらに、本稿はシステマティックなシーティイメージ形成のメカニズムがシーティイメージの国際的なコミュニケーションにおけるニューメディアの役割への理解を深めることにも寄与する。 

キーワード:ブイログ、ブロガー、シーティイメージ、マルチモーダルディスコース分析、シーティコミュニケーション

 

翻译者:文霞

校对者:曾焕

 

4. モバイルアプリの採用における米国と中国の大学生の比較:ダウンロード後の情報処理スタイルと使用頻度

辰杰、姜蔚蔚

https://doi.org/10.1515/omgc-2023-0032

 

目的

本研究は、ヒューリスティックシステマティックモデルを主な理論的な枠組みとし、同年代の中国と米国の大学生モバイルアプリ採用者の情報処理における類似点と相違点を明るくすることに目指す。

 

方法

オンラインによる自記式アンケート調査を実施した。

 

結果

本稿はいくつかの副次的な要素が個人的な要素に影響を与えることを明らかにした。いくつかの文化的志向(権力距離、享楽主義、個人主義、不確実性回避)が、情報処理を介してアプリ採用行動に間接的に影響を与える。社会的規範は、情報処理と採用行動を有意に予測する。回答者は、ヒューリスティック処理では類似しているが、システマティック処理では有意な差異があり、その結果、採用行動に有意な違いが生じている。

 

示唆

一部の文化的志向は、情報処理を通じてアプリ採用行動に影響を与えるが、ヒューリスティック処理とシステマティック処理には異なる影響を与える。すべての文化的志向が意思決定プロセスに影響を与えるわけではなく、一部の志向は予測因子ではなく調整因子である可能性がある。社会的規範は、アプリ採用において強い社会的動機を生み出すことができる。回答者は情報を処理する能力を持っているため、知覚された行動統制は、アプリ採用の意思決定において重要な影響要因ではない。回答者は、システマティック処理では異なるが、ヒューリスティック処理では異ならない。このことは、情報処理の観点から異文化比較に注目する必要があり、研究者は変数レベルで比較する前に、次元またはアイテムレベルでテストすべきである。

 

価値

本研究は、周辺的要因(国民文化、社会的規範、知覚された行動統制)と個人的要因(情報処理と行動)を結びつけることによって、ヒューリスティックシステマティックモデルを拡張している。また、計画的行動理論に由来する社会的規範と知覚された行動統制の特別な役割を、周辺的要因として検証し、意思決定の情報処理に関する文献を充実させている。本研究は、回答者がヒューリスティック処理よりもシステマティック処理において異なる可能性があること、文化的志向がヒューリスティック処理とシステマティック処理に異なる方法で影響を与えることを示唆しており、非採用の観点から技術受容の文献に光を当てている。

 

キーワード

モバイルアプリケーション採用、中国と米国の大学生ユーザー、文化的志向、ヒューリスティックシステマティックモデル、意思決

 

翻译者

校对者文霞

 

 

5.「涙が自由を勝ち得たことはない」:世界規模のプロパガンダ戦争におけるウクライナのミーム使用に関するマルチモーダルな談話分析

Mark Poepsel, Andrew Malo, Chinedu Obuekwe, Mikayla Wilhelm, Gongora Perea, and David Daiber

https://doi.org/10.1515/omgc-2024-00504-0050

 

目的

本稿では、アカウントの@Ukraineが2016年開設したから2023年9月までにX(旧ツイッター)に投稿したミームを分析し、世界紛争におけるプロパガンダの道具としてのミームの機能と有用性を検証する。

方法:100以上のミームを対象に、少人数の研究グループによるマルチモーダル談話分析を行い、探索的にミームをテーマ別のカテゴリーに分類した。次に、少数の研究グループが、意図的に選んだ一握りのミームの画像とテキストについて再帰的分析を行い、どのような種類のイデオロギー的アピールが存在するかを決定した。

 

結果

我々の発見は、インターネットミームが国民の団結を強めるために使われ、裕福でより強力な同盟国(この場合は西側)からの同情を求めるために使われるかもしれないという、先行研究でなされた観察と一致している。ウクライナの側では、民主主義、友好、独立というプロパガンダの理念が不可欠である一方、ロシアは独裁国家という枠組みで捉えられている。

 

実践的な意義

本稿で言及したミームのうち、世界的なメディアの注目を集めたものは少数であった。ここで研究したミームに関する広範なメディア効果について、われわれは何も主張しないが、米国の主要出版物の注目を集めることが、これらのミームのいくつかの目標であったことは明らかである。ある国のプロパガンダ戦略の鍵を見つけたい人にとって、その国のソーシャルメディアのミームは、手始めとして最適な場所である。

 

社会的な意義

この研究で明らかになったのは、政府はミームを使って、いわばプロパガンダのあらゆる基盤をカバーする可能性があるということだ。ウクライナのミームは、主に国民統合のメッセージと西側諸国との結びつきのメッセージを強化するために使われているようだ。

 

独創性

ウクライナのツイートを研究したものは他にもあるが、フィードに投稿されたミームだけに注目したのはこれが初めてと思われる。この研究は、プロパガンダ戦略の核となるコンセプトを、おそらくは宣伝活動を強化するためだけでなく、希望するメディアに「ヒット」させることを期待して、いかに多種多様なミームが伝えられるかを理解する上で重要な貢献をしている。

 

キーワード

プロパガンダ、マルチモーダル談話分析ミーム、ツイッター、オンラインメディア、多義性、ウクライナ

 

翻译者:王羽

校对者:曾

 

6. 被害者か悪者か?2023年イスラエルパレスチナ紛争を描く社説漫画

Gregory Gondwe, Carolyn Walcott

https://doi.org/10.1515/omgc-2024-0061

 

研究目的

本研究では、オンライン社説漫画におけるイスラエルパレスチナ紛争の描写を、視覚的、象徴的、比喩的、テキスト的分析を通して解析した。その結果、社説漫画全体に反戦感情が蔓延しており、特にパレスチナを支持する傾向が顕著であることが明らかになった。この支持は、特にサハラ以南のアフリカなど、グローバルサウス発の漫画で顕著であった。しかし、主流の西側メディアではそのような漫画は少なかった。

 

研究方法

本研究では、西側メディアおよび非西側メディアからの漫画を分析する深層的アプローチを採用している。マルチモーダル談話分析(MDA)とマルチモーダル記号論(MS)の理論を用いて、象徴性とテキストに着目し、漫画に内在する微妙なナラティブを解読する。

 

主な発見

漫画は複雑なナラティブを描いており、象徴性を用いて、政治家や主流メディアが特定の存在をどのように描き、被害者学を損なっているかを説明している。また、観客の認識に影響を与える主観的な視点を明らかにしている。これらは、複雑な政治概念を伝える上で、社説漫画が持つ影響力について、既存の学術的見解と一致している。

 

社会的影響

漫画は、紛争に対する一般的な理解を形成し、偏見や視点に影響を与える可能性がある。ハマスを加害者と被害者の両面を構築し、このグループに対する多面的な認識を示している。

 

実践的な意義

本研究の発見は、国連などの主要機関を含む政治的アイデンティティを描写する上で有用である。このような存在を大胆に描写することは、そのような組織の役割を理解するための実践的な手段を提供する。

 

独自性価値

本研究は、マルチモーダル分析を社説漫画に適用することで、隠れたナラティブと認識を明らかにし、既存の文献に付加価値をもたらしている。また、紛争の歴史的、地政学的、権力構造をより深く分析する必要性を示唆している。

本研究は、社説漫画がイスラエルパレスチナ紛争の認識と解釈をどのように形成するかについて多面的な理解を提供し、メディア言説における漫画の複雑で影響力のある性質を強調している。

 

キーワード

社説漫画、2023年イスラエルパレスチナ戦争、マルチモーダル談話分析、マルチモーダル記号論

 

翻译者王梓牧

校对者:曾