「ネットワークメディアとグローバルコミュニケーション」3(2):日本語翻訳巻頭語と論文要旨

发布者:李晓蒙发布时间:2024-09-25浏览次数:10

 1. 砕かれた命、壊れない物語:ジャーナリストから見たイスラエル・ガザ戦争最前線

Shahira S. Fahmy, Mohamed Salama, Mona R. Alsaba

 https://doi.org/10.1515/omgc-2024-0012


目的

本研究は、イスラエル・ガザ紛争の前例のない複雑さに光を当て、この紛争地帯でジャーナリストが直面する課題についての洞察を呈するものである。現代の戦争ジャーナリズムの激しい変化を踏まえ、紛争報道に影響を与える要因を分析するために「影響力の階層モデル」を用いた。

デザイン/方法論/アプローチ

「影響力の階層モデル」に根ざしたこの研究は、ガザのパレスチナ人ジャーナリスト18人へのインタビューに基づいて、個人的要因、メディア・ルーチン、組織的要因、社会的要因など、戦争報道への多面的な影響を検証し、ジャーナリストの実体験から詳細な洞察を示すものである。

研究結果

本研究は、戦争報道に影響を与えるミクロレベルとマクロレベルの要因が相互に絡み合っていることを示し、「影響力の階層モデル」内の半階層的な影響を明らかにした。紛争下でのジャーナリズム活動の複雑さに光を当て、安全性、倫理、個人的経験と職業上の責任と革新していたテクノロジーの役割との複雑な関係の重要性を強調するとともに、こうした要因がジャーナリズムの仕事において促進要因としても制限要因としても作用することを示した。

実践的啓示

本研究は、教育者、政策立案者、利害関係者、紛争報道に携わるメディア関係者に有意義な視点を提供し、戦争ジャーナリズムの実践に大切な示唆を与えた。戦争報道の質と正確性を高めるために、紛争地域のジャーナリストが直面する課題を理解し、それに応対することの重要性を強調している。

社会的啓示

戦争報道に影響を及ぼす課題を明らかにすることで、本研究はメディア倫理、安全プロトコル、紛争報道の社会的影響といったより広範なトピックスに携わった。不安定な地域で活動するジャーナリストを守るための包括的な支援システムと倫理的ガイドラインの必要性を浮き彫りにした。

独創性・研究価値

紛争報道に関する学術的視点と実践的視点の架け橋となるこの研究は、イスラエル・ガザ戦争における複雑な報道についてユニークな洞察を提供した。紛争を正確に描写する上でメディアが直面する新たな課題の中で、危険と限界を乗り越えるジャーナリズムの実践が果たす重要な役割を強調している。

キーワード

パレスチナ・イスラエル紛争、影響層次モデル、メディア倫理、戦争報道、メディア安全、イスラエル・ガザ戦争

訳者:魏柯鑫 魏柯鑫

校閲者: 曾煥濡

 

2. 中国ポップの脱領土化:中国のストリーミングサービスのグローバルな存在に関する予備調査

Zhaoxi (Josie) Liu

https://doi.org/10.1515/omgc-2024-0054

 

目的

本研究は、中国のトップ3のストリーミングサービスであるiQiyiTencent VideoYouKuが提供する様々なプラットフォームとコンテンツを詳細に検討することで、これらのサービスの国際的な運営状況を概観し、中国のポップカルチャーコンテンツのグローバルな存在感をマッピングすることを目的とする。

デザイン/方法論/アプローチ

本研究は主に、文書やデジタルアーティファクトを含むいくつかの情報源から収集された実証データに依存する。文書には、最近のBAT(百度、アリババ、テンセント)の財務結果と年次報告書、及びこれらの報告書のいくつかの分析が含まれる。デジタルアーティファクトには、iQiyiTencent VideoYouKuが運営するプラットフォームおよびNetflixRakuten VikiYouTubeなどのサードパーティプラットフォームから取得された数百枚のスクリーンショットが含まれる。これらのデータは整理され、グローバルリーチをマッピングするために分析される。

結果

本研究は、これら3つのプラットフォームが広範なグローバルリーチを持ち、これは脱領土化の最初の段階として概念化できることを発見した。この段階は、規模、シナジー、そして付随する条件とともに実行されており、民間セクターメディア企業が主な力となっている。

実用的な意味

本研究は、中国のポップカルチャーコンテンツのグローバルリーチをマッピングする。

社会的な意味

中国のポップカルチャーのグローバルリーチのケースは、文化的グローバリゼーションにおける重要な発展である。中国メディアコンテンツの脱領土化は、文化的グローバリゼーションをさらに複雑にし、かつ進展させる。

独自性/価値

中国のストリーミングサービスのグローバルリーチを文化の脱領土化の最初の段階として概念化することで、本研究は文化的グローバリゼーションに関する広範な議論に理論的貢献を行う。また、本研究は、iQiyiTencent VideoYouKuという中国のトップ3のビデオストリーミングサービスのグローバル展開に関するミクロレベルの分析を提供することで、中国メディアのグローバリゼーション研究にも貢献する。

 

キーワード:文化的グローバリゼーション、脱領土化、中国メディアのグローバリゼーション、iQiyi、ストリーミングサービス、Tencent VideoYouKu

訳者: 曾煥濡

校閲者:魏柯鑫 魏柯鑫

 

3. COVID-19ワクチン躊躇:ギリシャのFacebookにおける反ワクチンレトリックの分析

Iliana Giannouli, Achilleas Karadimitriou, Ioanna Archontaki, Stylianos Papathanassopoulos

https://doi.org/10.1515/omgc-2024-0054

 

目的

真実後の時代において、信念と事実、科学と疑似科学の区別が曖昧になっている。本研究は、パンデミック中のCOVID-19ワクチンの安全性に関する公共の議論から着想を得て、ギリシャのオンライン公共圏におけるCOVID-19ワクチン懐疑派のナラティブを探求することを目的としている。

方法論

本研究の目的のために、20219月から202111月までの3か月間にわたり、ユーザーページおよび公開グループのFacebook投稿を分析した。テーマティック分析を用いて、反ワクチン派のレトリックが基づく主要なテーマおよびその主張を正当化するために使用される情報源を調査した。

結果

調査結果は、ギリシャの文脈において、ソーシャルメディアで表現される反ワクチンディスコースが、政治家、医療コミュニティ、伝統的メディア、一般的なエスタブリッシュメントへの不信と、COVID-19ワクチンの安全性や合併症に関する事実の融合であることを示唆している。

社会的な意味

本研究は、健康に関連する公共の意見に対するソーシャルメディアプラットフォームの影響に関する既存の学術文献に貢献するものである。特に、偏ったデジタル環境内での情報の無規制な拡散に関連する可能性と課題を浮き彫りにしている。

独自性/価値

本研究は、ギリシャ社会の文脈において、ソーシャルメディアで表現される反ワクチンレトリックの特徴を明らかにするものである。本研究は、ソーシャルメディアディスコースのダイナミクスとそれが公衆衛生コミュニケーションに与える影響に関心を持つ学者や研究者に対して洞察を提供する。

キーワード:COVID-19、反ワクチン運動、ワクチン躊躇、ソーシャルメディア、Facebook、ギリシャ、テーマティック分析

訳者: 曾煥濡

校閲者:魏柯鑫 魏柯鑫

 

 

4. モバイルニュースへのアクセス、モバイルニュースのレパートリー、ユーザーがニュースについて話す傾向 - モバイルニュース消費に関する経験サンプリング研究

Veronika Karnowski, Katharina Knop-Huelss and Zoe Olberman

 https://doi.org/10.1515/omgc-2024-0051

 

目的

過去30年間で、メディア生態系は大きく変化し、人々がニュースに接する方法も変わってきた。このような変化は、ユーザーの日常生活におけるニュースへのアクセスの多様性にもつながっている。本研究は、モバイルニュース消費という小宇宙を切り口にして一般的なニュース利用の変化を考察し、モバイルニュースアクセスのタイプやモバイルニュースのレパートリー、そしてユーザーがニュースについて話す傾向との関係を探った。目的は要するに、モバイルニュースの利用における個人内および個人間の差異を明らかにすることである。モバイルニュースの利用についてこのようなきめ細かな視点を持つことで、横断的な研究よりも包括的な評価を提供し、モバイルニュースの研究者や関係者にとって価値のあるものとなる。

方法論

ドイツ人の若者72人を対象に、14日間の経験サンプリング調査を実施した。13回のアラートをもとに、560のモバイルニュースの状況を報告する2,211の記入済みアンケートを得た。多階層潜在クラス分析を用いて、モバイルニュースへのアクセスパターンとモバイルニュースのレパートリーを同時に評価した。

研究結果

本研究は、4つのモバイルニュースレパートリーに組み込まれた5つの異なるタイプのモバイルニュースアクセスを明らかにした。これらの発見は、モバイルニュースの利用におけるかなりの個人内異質性を浮き彫りにした。しかし、こうした異質性は、ニュースについて話すユーザーの傾向にはほとんど現れていない。

実践的・社会的価値

本論はニュースの利用とその意味を研究する際に、個人差を認めることの重要性を強調している。最も重要なことは、サンプルの中には、ソーシャルメディアベースのモバイルニュースアクセスだけに依存しているモバイルニュースのレパートリーはないということが見られた。研究者や関係者は、ソーシャルメディアベースのニュースアクセスの利点と危険性について議論する際、こうした異質性を認めなければならない。

 

キーワード

モバイルニュースへのアクセス、モバイルニュースのレパートリー、ユーザーがニュースについて話す傾向、モバイルニュース消費、サンプリング調査

 

訳者:魏柯鑫 魏柯鑫

校閲者: 曾煥濡


5. 西洋以外からのデジタルメディア研究:フィリピン拠点のジャーナルからの理論的方向性

Jason Vincent A. CabanesMia Franchesca M. Luna

https://doi.org/10.1515/omgc-2024-0014

 

要約

本論文は、デジタルメディア研究の可能性を広げることにより、メディアとコミュニケーション分野のグローバル化と脱植民地化の声がますます高まることに貢献する。 そのために、COVID-19の影響下にあった2020年から2023年の間にフィリピンを拠点とする5つのジャーナルに掲載された27のデジタルメディアに関する研究を深く掘り下げている。 これらの研究は、技術と西洋以外の独特で多様な政治的、経済的、社会文化的現実との絡みを強調している。 質的テーマ分析を通じて、この記事は、選択された研究が「デジタル審議」、「デジタル親密性」、「デジタルプロモーション」の3つの主要なテーマに沿ってクラスタリングされていることを明らかにしている。 これらのテーマに合致しないものもいくつかあったが、それでもフィリピン社会の動態とデジタルメディアの絡みを見出す新たなベクトルを示唆している。 これらはすべて、西洋で生み出された学問の典型的な関心事とつながりながらも、それを超えるデジタルメディア研究の理論的枠組みを拡大するものである。

 

キーワード:デジタルメディア、 フィリピン、非西洋、グローバルサウス、脱植民地化、グローバル

訳者:王羽 王羽

校閲者:曾焕濡 曾煥濡


 

6. Netflixによる文化的多様性:産業戦略を正当化する手段か?

Olivier Thuillas Louis Wiart

 

要約:多様性のテーマは、Netflixのコミュニケーション実践の中心的な特徴であり、その企業戦略を正当化するための重要な要素である。Netflixの多様性に関する言説は、同社の利益に応じて変化する。本論文では、Netflixのコミュニケーション実践を構成する三つの多様性の側面を強調している。それは、アルゴリズム的多様性、グローバル化された多様性、および包括的多様性である。

キーワード:Netflix、文化的多様性、企業戦略、ビデオオンデマンド、SVOD

訳者:王羽 王羽

校閲者:曾焕濡 曾煥濡