「ネットワークメディアとグローバルコミュニケーション」4(1):日本語翻訳巻頭語と論文要旨

发布者:李晓蒙发布时间:2025-04-11浏览次数:10

編集委員会における地理的象徴主義: 高評価コミュニケーション学術誌の内容分析

Manfred Asuman, Abubakar Ibrahim, Meghan Sobel Cohen, Brian Ekdale

DOI: http://doi.org/10.1515/omgc-2024-0036

 

目的

研究によると、グローバル・ノース(北半球先進国)の特定の国々が過剰に代表されていることが、コミュニケーション、メディア、ジャーナリズム分野における知識生産の地理的格差に寄与しているとされています。本研究は、コミュニケーション、メディア、ジャーナリズム研究における高評価学術誌30誌の編集委員会を分析し、学術界における地理的トークニズムを理解することを目的としています。また、これらの学術誌の編集委員会において、過小評価された地域の特定の機関や学者が過剰に代表されているかどうかを探求しました。

 

方法論

コミュニケーション、メディア、ジャーナリズム研究における高評価学術誌30誌の編集委員会メンバーを内容分析しました。コーディングしたデータから、個人の名前、編集委員会での役割、所属機関、およびその機関が所在する国を特定しました。データ分析には、カイ二乗検定、ピアソンの相関、および階層線形モデルを使用しました。

 

結果

本研究では、グローバル・サウス(南半球発展途上国)の機関やこれに所属する学者が、編集委員会で圧倒的に過小評価されていることが明らかになりました。一方で、過小評価されている地域が編集委員会に代表されている場合、特定の機関や学者が過剰に代表されていることも確認されました。

 

実践的意義編集委員会や編集職における多様性が高い学術誌ほど、高い学術誌ランキングと関連していることが示されました。

 

社会的意義

本研究の結果が示す社会的意義は、象徴主義(象徴的な形式だけの多様性)が、むしろ思考の多様性を阻害し、西洋中心の学問が標準であると見なされるという厄介な考えを超えるために必要な進展を妨げる可能性があるという点です。

 

独創性

これまでの研究が編集委員会を分析してきた一方で、本研究は、知識生産の地理的格差を分析するにあたり、編集委員会メンバーの機関レベルおよび個人レベルでの分析を行った点で独創性があります。

 

キーワード

コミュニケーションおよびメディア研究、学術誌、編集委員会、象徴主義、グローバルサウス、格差

翻訳者:楊雨寒 杨雨寒

校閲者貝毓蔚  贝毓蔚


 

研究資金、共著者、および出版先の関係を探る:コミュニケーション学、政治学、社会学における実証分析

Marton Demeter , Manuel Goyanes , Zsolt Kohus and Homero Gil de Zúñiga

DOI: https://doi.org/10.1515/omgc-2024-0046

 

目的

本稿は、研究資金と社会科学、特にコミュニケーション学、政治学、社会学における共著者数およびジャーナル選択への影響との関係を調査している。具体的には、研究資金が付与された研究プロジェクトが、より多くの共著者と高いジャーナルの評価を伴うかどうかを検討し、資金提供を受けた論文は一般的に大規模なチームで執筆され、より権威のあるジャーナルに掲載されることが明らかにしたが、社会学においては例外もある。

デザイン/方法論/アプローチ

本研究は定量的なコンテンツ分析の研究設計を採用し、コミュニケーション学、政治学、社会学の分野で発表された1,091本の論文を対象にしている。研究資金、共著者数、およびジャーナルのクォータイルランキングとの関係を評価するために、マン・ホイットニーのU検定、適合度のカイ二乗検定、独立性のカイ二乗検定を含む統計的検定を用いている。

結果

主な結果として、資金提供を受けた論文は通常、より多くの共著者を伴い、特にコミュニケーション学および政治学ではより権威あるジャーナルに掲載される傾向があることが明らかになった。しかし、社会学においては、資金提供とジャーナルの評価との間に有意な関連は見られていないのである。すべての分野において、資金提供を受けていない論文がより一般的であり、これは社会科学の一般的な資金不足を反映している。

実践的意義

結果は、研究資金が協力を強化し、権威あるジャーナルに掲載される可能性を高めることを示唆している。また、社会科学分野における研究の質と可視性を向上させるためには、よりターゲットを絞った資金提供が必要であることを強調している。政策立案者や資金提供機関は、リソース配分時にこれらの要素を考慮し、社会学のような資金不足の分野に十分な支援を提供し、理論的および社会的影響を高める必要がある。また、研究者は、より多様で大規模な協力を促進する資金提供の機会を探ることが有益であるかもしれない。

社会的意義

本研究の結果は、不平等な研究資金が知識の生産と普及における格差を悪化させる可能性があるという広範な社会的示唆を示している。資金提供を受けた研究のジャーナルでの過剰な代表性は、既存の権力構造を強化し、資金提供を受けていないが影響力のある研究の可視性を制限する可能性がある。これらの不均衡に対処することは、より多様で公平な学問的風景を生み出し、革新と包括的な知識の発展を促進することにつながる。

独自性/価値

本研究の主な価値は、その実証的証拠に示されている。これは今後の社会科学研究の実践を強化する可能性を秘めており、また、ターゲットを絞った資金支援がより多様で影響力のある、社会的に責任ある研究を促進する方法を示している。

キーワード

資金提供、共著、社会科学、出版動向、社会学、政治学、コミュニケーション

 

翻訳者:曾煥濡 曾焕濡

校閲者:楊雨寒 杨雨寒


 

遠くから見る多様性-トップのコミュニケーションジャーナルにおけるグローバルノース諸国の過剰代表性に関する科学的分析

Gergely Ferenc Lendvai

DOI: http://doi.org/10.1515/omgc-2024-0056

目的

本稿は、トップコミュニケーションジャーナルにおける学術出版の地域的不均衡を調査し、特にグローバルノースの研究者の過剰代表性と、グローバルサウスの研究者の過少代表性に焦点を当てている。本研究の目的は、これらのジャーナルの包括性を評価し、編集委員会の多様性を検討することである。

デザイン/方法論/アプローチ

本研究は混合方法の科学計量アプローチを利用し、2014年から2023年までの間にScopus(スコーパス)にインデックスされたコミュニケーションジャーナルからデータを収集した。方法には、文献の計量分析、ネットワーク分析、カイ二乗検定およびコルモゴロフ-スミルノフ検定などの高度な統計アプローチが含まれている。

結果

分析の結果、顕著な不均衡が明らかになった。トップコミュニケーションジャーナルに掲載された論文の90%以上がグローバルノースの学者によって執筆され、グローバルサウスの学者による論文は10%未満である。同様に、編集委員会もグローバルノースの学者によって支配されており、アメリカ合衆国だけで委員会メンバーの63%を占めていた。

実践的意義

これらの結果は、トップジャーナルにおけるグローバルサウスの学者の体系的な排除を浮き彫りにしている。これに対する実践的な含意としては、より包括的な編集慣行と、過少代表地域に対する公平な出版機会の提供が求められる。

社会的意義

本研究は、学術出版の脱植民地化と脱西洋化の必要性を強調し、学術的コミュニケーションにおける多様性と包括性を促進することで、すべての地域がグローバルな学術対話において声を持つことを保証する必要性を示している。

独自性/価値

この研究は、コミュニケーション学の学術における地域的排除に関する実証的証拠を提供し、グローバルノース諸国の支配を明らかにし、より公平な学術出版の風景を作るための戦略を提案している。

キーワード

グローバルノース、グローバルサウス、学術出版、コミュニケーション学、編集委員会、多様性

 

翻訳者:曾煥濡 曾焕濡

校閲者:楊雨寒 杨雨寒

 


 

多言語科学:知識の生産と交換における出会いの場としての言語を論じる

Ana Cristina Suzina

DOI: http://doi.org/10.1515/omgc-2024-0058

 

最近のいくつかの研究は、英語を第二言語として使用する学者の出版記録に対して、悪影響を及ぼす言語的不利を示す証拠を集めています。本記事は、脱植民地的視点、破壊的容量の視点、参加型の視点という3つの補完的な視点からこれらの問題を枠組みします。文献レビューに基づくこの体系化により、これまでの研究が提起したいくつかの問題を要約し、差別から支配に関する議論への転換を主張します。この立場は、出版のダイナミクスに埋め込まれた偏見を認識しつつも、後者が商品化された生産目的によって科学が歪められたシステムにおいてのみ存在し得ることを強調します。現在の体系化はまた、異文化間の翻訳の進展の異なる段階を含むのに十分な柔軟性を持ちながら、学術生産の高い基準を維持する多言語主義を重要なマイルストーンとする解決策を支持します。

多言語システムにおいては、集合的な心構え、異文化間翻訳、そして学術リテラシーの再考された理解が、科学を進歩させ生活条件の向上に寄与するという学術出版の目的を取り戻します。本レビューは、資金提供機関、出版組織、編集者、査読者、著者、読者が共同で実施する必要のある変更に光を当てます。第二言語として英語を使用する学者にとって学術出版をより公平にすることは、社会全体にとってより有意義なものにすることを示しています。

 

キーワード

学術リテラシー、学術出版、英語、多言語主義、学術ライティング、科学

 

翻訳者:楊雨寒 杨雨寒

校閲者:貝毓蔚  贝毓蔚


 

学術帝国主義とメディア帝国主義の交差点:ブラジルのアブラジ(Abraji)の事例

 Afonso de Albuquerque, Marcela Barba

DOI:http://doi.org/10.1515/omgc-2024-0055

 

目的

本論文は学術帝国主義とメディア帝国主義が文化帝国主義の補完的な側面であることを考察する。これまでの研究では、この二つの概念は別々に論じられてきた。本研究は、アメリカが国際学術分野における主導的な役割を果たし、他国のメディア関係者に影響を与えることで、現地の労働力を通じてメディア帝国主義を強化していると主張する。

 

方法論

本論文は歴史的解釈的アプローチを用いて、学術帝国主義とメディア帝国主義がどのように協力して機能するかを説明する。また、偽情報対策の議題の台頭に関する定量分析も取り入れている。

 

研究結果

本研究は外部の学術的影響と地域メディアの物語との複雑な関係を強調している。具体的な事例に基づいて、ナイトセンター(Knight Center)がアブラジ(Abraji)での学術的なトレーニングと実践的な活動を通じて、どのようにブラジルのジャーナリストに影響を与えているかを示している。

 

実践的社会的意義

本論文は文化的支配とメディアの影響に関する広範な議論に貢献している。また、国家メディアエコシステムにおける外部の力の役割について批判的に考察する必要性を強調している。

 

独創性/価値

本論文の独創性は、学術帝国主義とメディア帝国主義の交差点を探求している点にある。ナイトセンターのような外部の影響がどのように地域の学術構造を回避し、アメリカの政治的利益と結びつき、最終的に国家の主権に影響を与え、メディアの物語を形成するかを示している。

 

キーワード:文化的帝国主義、学術帝国主義、メディア帝国主義、ナイトセンター、アブラジ

 

 翻訳者:贝毓蔚貝毓蔚

 校閲者:曾煥濡 曾焕濡


 

コミュニケーション/メディア研究における出版の民主化:『Communication, Culture & Critique』のケーススタディ

Eve Ng, Melissa A. Click

DOI: https://doi.org/10.1515/omgc-2024-0059

 

目的

コミュニケーション/メディア研究における出版における広範な不平等には、グローバルサウスの学者が著者や編集委員会のメンバーとして十分に代表されていないという問題がある。しかし、これらの不均衡を解消するための戦略の実施については、これまでほとんど研究が発表されていない。

デザイン/方法論/アプローチ

本稿では、『Communication, Culture & Critique』(CCC)というジャーナルにおける取り組みについて議論を行っている。著者はこのジャーナルで編集長と副編集長を務めている。

結果

2021年から2024年の4年間の任期中、CCCは編集委員会の多様化に取り組み、グローバルサウスの学者の割合を増加させたが、依然としてグローバルノースの学者が大多数を占めている。また、ジャーナルはグローバルサウスのメディア/文化に焦点を当てた特集号をいくつか発行し、これらの特集号では、通常号の記事よりもグローバルサウスの市民権と所在を持つ著者の割合が高かった。しかし、グローバルサウスをテーマにした号の記事は、ジャーナル内で他の記事に比べて引用数が少ない可能性がある。2022年に開かれた投稿前メンタリングプログラムは、ほとんどすべての応募がグローバルノースの大学の学者から寄せられ、欧米の学問的規範を強化する可能性がある。CCCの却下データは、他のオックスフォード大学出版の社会科学ジャーナルと比較しても、著者の性別、人種、民族性の多様性において好ましい結果を示している。

実践的意義

発見した不均衡のより広範な構造的な特徴は、ジャーナル、出版社、専門家団体によって取り組まれるべきである。

社会的意義

CCCの取り組みの混合的な成果は、より広範な協調的な努力が必要であることを示しており、これらの構造的な課題に対処するためにはより効果的な方法が求められる。

独自性/価値

本研究は、1つのジャーナルがどのように編集委員会の民主化を図り、グローバルサウスの学者の発表を増やそうとしたかを詳細に報告した初めての研究である。

キーワード

グローバルノース/サウスの不平等、グローバルサウスの学問、コミュニケーション研究、ジャーナル編集委員会

 

翻訳者:曾煥濡 曾焕濡

校閲者:楊雨寒 杨雨寒


 

中国のメタバースと人工知能開発における政策と投資:学術研究への影響

Vincenzo De Masi, Qinke Di, Siyi Li, and Yuhan Song

DOIhttp://doi.org/10.1515/omgc-2024-0041

 

目的

本研究は、中国のメタバースおよび人工知能(AI)開発における戦略的取り組みを分析し、それらが学術研究、産業の革新、政策立案に与える影響を調査している。この研究は、政府の政策と投資がどのように研究課題を形作り、これらの分野における課題と機会を特定することを探求している。

 

デザイン/方法論/アプローチ

本研究は、政府の文書、資金提供プログラム、研究成果の総合的な分析を採用している。主要な政策、投資プログラム、および学術的な出版物を調査し、中国におけるメタバースとAIの開発動向を追跡する。この研究は、出版動向、引用パターン、および国際的な協力ネットワークを評価するために文献の計量分析を使用している。

 

研究結果

中国の積極的なアプローチは、強力な政府の支援と大規模な民間投資を特徴とし、メタバースおよびAI分野における研究成果と質の顕著な向上をもたらした。中国の学術機関は、世界的な出版物への主要な貢献者となり、引用率や国際会議での存在感が増やしてきた。この研究は、プライバシー、AI倫理の発展、デジタル格差に関する新たな課題を特定していた。

 

実践的意義

この結果は、政策立案者、研究者、および産業関係者に、中国におけるメタバースおよびAI技術の発展軌跡に関する洞察を提供する。それは、これらの急速に発展している分野における革新、規制、倫理的考慮のバランスを取る方法の重要性を強調してい

 

社会的意義

この研究は、メタバースおよびAI技術が教育、医療、エンターテイメント、社会的相互作用などのさまざまな社会分野を変革する可能性を強調している。デジタル公平性と倫理的AIの導入に関する問題を解決することで、広範な社会的利益を確保する重要性を強調している。

 

独創性/価値

この研究は、中国のメタバースおよびAI開発に関する包括的な概要を提供し、政府の取り組み、学術研究、および産業革新の相互作用に関する独自の視点を提供する。これにより、これらの革新的な技術の世界的な発展と、それらが未来の技術的な風景に与える影響に関する広範な議論に貢献している。

 

キーワード:中国、メタバース、人工知能、研究政策、学術研究、デジタル経済、技術革新

 

翻訳贝毓蔚 貝毓蔚

校閲者:曾焕濡 曾煥濡